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良い塩とは何か

人気の塩36選と成分
塩の製法
塩分と血圧の関係
良い塩とは何か

健康のため減塩が言われて久しいが、最近「良い塩を摂取すれば高血圧にならない」「日本人は塩の摂取が足りない」「塩分の不足が寧ろ、骨粗鬆症、鬱病、皮膚疾患他、病気の原因になる」、などの情報を見かける。そこで良い塩とは何かについてまとめてみた。

塩の基礎知識

  1. すべての塩は海水由来。(岩塩なども)
  2. 塩と食塩(=塩化ナトリウムNaCl)は違う。海のミネラルの集合体が塩。
  3. 「食塩」は、塩事業センターが販売する純度99%以上の塩化ナトリウムの商品名。
  4. 明治時代、塩の専売制が始まったときに、塩=塩化ナトリウム、塩化ナトリウム純度が高い塩が良い塩、塩化ナトリウム以外のミネラルは不純物という、間違った認識が広まって、そのまま更新されていない。その不純物=人間に有用なミネラル。
  5. 不純物とされた、海水に含まれている微量元素(モリブデン、亜鉛、鉄、銅、マンガン、コバルト)は生き物の体内で大切な働きをしている。
  6. 塩は体をコントロールするための大切なミネラルの集合体。
  7. 塩を取ることは本来のミネラルバランスを取り戻す最も手軽な方法。他の食品からミネラルをとることも可能だが、過不足なく取ったりバランスが非常に難しい。塩からミネラルを取るのがリーズナブル。
  8. 生命は海から生まれた。胎児は、母親の胎内で生物38万年の進化を辿り生まれてくる。
  9.  海水と血液のミネラルバランスは似ている。人の元素top10、海の元素top10と同じ。
  10. 人の元素 top10 とは、①水素、②酸素、③炭素、④窒素、⑤カルシウム、⑥リン、⑦硫黄、⑧ナトリウム、⑨カリウム、⑩塩素。
  11. 生物は自然界に存在する92の元素の内30の元素からできている。
  12. 正しいミネラルバランスとは、生命が生まれた頃の海水のミネラルバランス。
  13. ミネラルが不足すると自律神経が不安定になり、ナトリウム不足は、胃弱、胃下垂、貧血や冷え性の原因にもなる。塩には細胞を活性化し、新陳代謝を盛んにし、傷を復元蘇生させる力がある。
  14. 塩を消費する食物を食べ過ぎると、ミネラルバランスが乱れる。果物、甘いもの、アルコールは、塩を消費する。果物はカリウムが多いので、食べ過ぎるとナトリウムが不足する。
  15. 骨はカルシウムだけではなくミネラルの貯蔵庫。
  16. やや濃いめだけど美味しいが健康的な塩分量。
  17. 人間には、体内環境を正常に保つ自動調節機能がある。(ホメオタシス=恒常性)
  18. 体内環境とは、細胞外液=血液・リンパ液・細胞間液のこと。
  19. 喉が乾いて水を飲む、尿や便で余分な成分を排出するのがホメオタシス。
  20. ホメオタシスが、間違った食事、食品添加物、農薬、その他化学物質、有害な細菌、ウイルスにより崩れると、体調不良や病気になる。
  21. 昭和46年(1971)法律により塩田による塩の製法が廃止され「イオン交換膜法」という化学工業的な製法に切り替わった。
  22. 現在、塩事業センターが販売する「食塩」(商品名)は、塩化ナトリウム純度99%以上と定められている。輸入天日塩を精製加工した「精製塩」も塩化ナトリウム純度99%以上と定められている。
  23. 日本では、岩塩や塩湖がなく、気候的にも日本では天日結晶が難しい。世界的には海水塩よりも、岩塩や湖塩の生産量の方が多い。
  24. 海水を濃縮して塩を結晶させるには、燃料など相当のコストがかかる。

良い塩の選び方要約

  1. 精製塩は塩化ナトリウムしか含まれていない。他の必須ミネラルを塩以外から接種する必要があるため注意する。
  2. 食塩の種類や製法は、単にその塩の肩書きや履歴であり、塩の成分や味を表すものではない。webサイトで調べたり、健康意識の高いショップの店員と相談したり、購入者のレビュー、パッケージなど、成分をしっかり確認した上で購入するのが良い。
  3. 海の成分、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、他のミネラルを適量に含んだ塩が、ミネラルバランスの良い身体に良い塩。
  4. 海水に含まれている微量元素(モリブデン、亜鉛、鉄、銅、マンガン、コバルト)も身体にとって重要な働きをしているので留意する。
  5. 精製塩の次に気をつけなければいけない塩は、ミネラルの多過ぎる塩。
  6. ミネラル分が多過ぎる塩には、硫酸塩(硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム)が多く含まれていることが多い。硫酸塩は腎臓にかなりの負担をかける。
  7. 腸内には、硫酸塩還元菌がいて、塩に含まれる硫酸塩を硫化水素に還元してしまう。
  8. 硫化水素は、炎症の原因となり、大腸の細胞内で代謝処理を妨害、腸管粘膜を損傷、潰瘍性大腸炎などの腸の病気を引き起こす。
  9. 硫化水素は硫黄と水素が結合したものだが、にんにく、ネギ、ニラに含まれる有機硫黄は、腎臓やミトコンドリアの保護、血流増加、強力な抗がん作用があるので積極的に摂取して良い。無機硫黄には注意が必要。※ Hydrogen sulfide toxicity in the gut environment: Meta-analysis of sulfate-reducing and lactic acid bacteria in inflammatory processes (1945-2019 160件の研究を参考にした論文)
  10. マグネシウムやカリウムが多いと、旨みが出て美味しくなる。マグネシウム、カリウムの成分が多いものを選ぶ。味と成分のバランスも考慮すること。成分だけに目が行きがちだが、長続きさせるために味も重視する。
  11. 製法・種類に限らず、大抵の場合、不純物や有害な物質を取り除くために、洗浄という工程を行う。そのため、塩化ナトリウムだけが残る。論理的には洗浄の工程が無いものの方が良い(異物や不純物があり清潔で無い可能性も)。
  12. イオン交換膜製塩法以外のものを選ぶ。海水、結晶法は天日干しした塩が良い。
  13. マグネシウムやカリウムは、非常に溶けやすいく、空気中の水分にも溶ける。塩の成分として残すのが難しい。これらの成分が含まれていると、濡れてしっとりした塩になる。しっとりと水分を含んだ塩が良い。良くないと言われている精製塩は、さらさらの塩。成分は99.9%塩化ナトリウム。
  14. 岩塩、湖塩は、自然塩。釜焚き塩と、天日塩は人工塩。人工塩は作り方次第でその成分・味を調整することが出来る。理論上はナトリウム100%の塩を作ることも出来るし、海水から水分を飛ばしただけの成分の塩をつくることも出来る。製法や成分に限らず、後でミネラルが豊富でバランス良くに加えられていていれば良い塩。

塩に含まれる成分と味

カルシウム

  • 味 : えぐ味 溶けにくい
  • 健康 : 骨、歯を強くする。筋肉を適切に動かす。精神の安定。

ナトリウム 

  • 味 : 塩味
  • 健康 : 他のミネラルの吸収を助ける。カリウムとともに血圧を調整する。(血圧を上げる)血液を通いやすくする

カリウム 

  • 味 : 酸味 
  • 性質 : やや溶けやすい
  • 健康 : ナトリウムとともに血圧を調整する。血圧を下げる。筋肉のつり•痙攣を防ぎ適切に動かす、食欲を保つ。夏バテ防止。

マグネシウム 

  • 味 : 強い苦味 
  • 性質 : とても溶けやすい
  • 健康 : 精神の安定、集中力の向上、睡眠向上、骨粗鬆症予防、筋肉のつり•痙攣を防ぎ適切に動かす

海のミネラルバランス

※ 海水の塩分濃度は約3.4%。

  • 塩化ナトリウム78%(全体の3/4)
  • 塩化マグネシウム9.6%
  • 硫酸マグネシウム6.1% NG 腸に負担
  • 硫酸カルシウム4.0% NG 腸に負担
  • 塩化カリウム2.1%
  • その他0.3%
  • 海水には100種類近くの成分がある。
  • 上記は海水が個体になった場合の塩の成分。塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(MgCl2)は個体。海水中ではそれぞれNa+とClーに、Mg+とCl-の2つのイオンに分かれる。

必須ミネラル

成人の摂取目安(基準値を見直す必要がある)

  • ナトリウム6.5〜7.5g/日
  • カリウム2600〜3000mg /日
  • カルシウム600〜1000mg/日
  • マグネシウム290〜300mg/日

「厚生労働省」: https://jp.glico.com/navi/e07-3.html

塩の種類

  • 天日塩(海塩)
  • 釜焚塩(海塩)
  • 岩塩
  • 湖塩
  • 再製加工塩
  • 精製塩
  • 非加熱塩 = 天日濃縮•結晶加熱塩 =  [7]以外のほとんどの塩

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